口腔外科


親知らずとは

前歯から数えて8番目、大人の奥歯の中で最も後ろに位置する歯で、第三大臼歯が正式な名称で、智歯(ちし)とも呼ばれています。 親知らずが生えてくる年齢は18~20歳ぐらいですが、多くの場合は横、斜めに生えてきてその時期に生えてこないこともあります。そのような親知らずは、その他の歯に悪い影響を与えることが多いです。また、手前の歯や歯の周りの骨を溶かしたり、歯並びを悪くしたり、口臭の原因となったりと悪影響を及ぼすことが多いです。

親知らずを抜いたほうがいい理由

1.横の歯を虫歯にしてしまう 2.虫歯で親知らずが痛い 3.親知らずの周りの歯茎が腫れて痛い 4.親知らずの周りがきれいに歯磨きができず口臭がする 5.親知らずが横を向いて生えていて歯並びを悪くする可能性が高いなどがあります。

また例外として抜かなくてもいい親知らずもあります。上下の歯がまっすぐ生えていて、しっかり歯磨きもできるので虫歯になっておらず、歯周病もひどくなければ抜く必要はありません。

また、抜かないといけない親知らずをずっと置いておくと、親知らずと親知らずの前の歯との間に深い歯周ポケットができ、歯茎が腫れたり、歯周病を進行させたりもします。

30歳代になると日本人の80%ぐらいが歯周病にかかっているといわれていますので、歯周病の進行のことを考えると20歳前後での抜歯がいいと言われています。

また、親知らずを完璧に磨くのは、かなり難しいので非常に虫歯になりやすいです。また、磨き残しがある親知らず周辺の歯も同時に虫歯になってしまうことも多いです。そうなってしまうと一生使いたい歯も治療が必要になったり、抜歯が必要になることもあり、親知らずをおいておくことで健康な歯まで悪影響を受けてしまいます。このようなことから親知らずがきちんと磨けないような生え方や歯ブラシの届かないようなところにある時も早めの抜歯が、周りの歯が虫歯にならないためにも大切です。

その他に若いうちに親知らずを抜いたほうがいい理由として、20歳前後の回復力が活発な時期に親知らずを抜歯すると傷口が早くふさがり、腫れや痛みが長引かずに済むことが多いですし、骨や歯茎の治りも早いです。また、女性の方は妊娠中は子供への影響を考えると抜歯を避けたい時期ですので、早めに抜歯をしたほうがいいです。

実際に抜歯を行うときは、すぐに抜歯をしたほうがいい場合と、消炎治療を行ってから抜歯を行った方がいい場合がありますので痛みの原因を見極めてから抜歯する必要があります。

それでも歯医者に親知らずの抜歯をすすめられて、どうしようか悩んでいるけど決断できない方は多いのではないでしょうか。

また、友達から話を聞いたり、テレビで見たりして自分も抜いた方がいいのか迷っている方、実際にすでに親知らず周辺の歯ぐきが腫れたり、痛くなったりと困っている方もいるでしょう。親知らずは特に下の歯が横に向いてはえていることが多く,その場合は普通にはえている歯より抜歯が難しくなります。大人の歯の抜歯をしたことがないという方はなおさら心配だと思います。でも、親知らずの抜歯は普通の歯を抜歯する時よりも困難なケースが多く、抜歯した後で腫れたり、痛みが長く続く時もありますが、すべてのケースでそのようなことが起こるわけではありませんし、親知らずを残しておくと多くのデメリットがありますので、若いうちに抜いてしまった方が傷の治りもよく腫れや痛みも早く良くなることが多いです。

このように若いうちに抜歯したほうがメリットも多いのですが、全く問題がないということでもありません。

抜歯は外科的な治療になりますので、抜歯する人の全身状態や現在お医者さんで何か疾患があり、通院しているか、どのようなお薬を飲んでいるかを十分に把握して安全に抜く必要があります。全身状態によっては抜歯の時に問題となるお薬を飲んでいるケースもありますし、血が止まりにくい病気など抜歯に大きな問題となる疾患にかかっていることもありますので、全ての親知らずをすぐに抜いてしまった方がよいということでもありません。。

若いときからそのような全身疾患にかかっておられる方もいますので全身状態を正確に歯医者さんに伝えることは重要です。

また、まっすぐ生えていて虫歯にもなっていないし、十分に歯磨きが出来る時は抜く必要はありませんし、それ以外にも深いところに親知らずが埋まっている時は注意が必要です。神経と親知らずの根っこが近くて抜歯することによって神経の損傷が起こることもありますので、親知らずが深いところに埋まっている場合はすぐに抜くべきがどうか判断が必要になります。

そのためには歯医者さんでレントゲン撮影をすることで親知らずの生え方は判断できますし、抜歯の困難さもだいたい判断できます。また、下あごの骨には唇の知覚を感知する神経が走行しているので、神経の位置と親知らずの位置関係も把握できます。

歯医者さんできちんと診断してもらい、抜歯が必要かどうか、抜歯した後はどうなのかをきちんと診断してもらってはどうでしょうか。