口腔外科


顎関節症とは、顎が痛い(顎関節痛)、顎関節で変な音がする、口が開かないなどを三大症状とする、顎の関節その周囲の組織に現れる痛み障害の総称のことです。

顎関節症の原因

顎関節症の原因はまだ特定されておらず、今のところさまざまな要因が重なった結果、発症すると考えられています。顎関節症を発症させる要因としては次のことが考えられています。

精神的ストレス

精神的ストレスによる「くいしばり」や「歯ぎしり」、「カチカチと歯をならす」などは、顎関節にも強い負荷をかけています。このような睡眠時の行為を「ブラキシズム」といい、顎関節の筋肉に慢性的な疲労を与えます。

噛み合わせ

不正咬合によりあごがずれ、生理的な関節の位置や顎位を得ることができずに発症してしまうことがよくみられます。最近では主な原因の中の一つと考えられており、偏咀嚼やブラキシズムの原因に関連していると思われます。その結果、顎関節に負担がかかり、症状が出てくる可能性も高くなります。

顎骨格と食生活

現代人は、顎が小さくなっています。顎の発達が悪いと顎関節への負担も大きいと考えられます。また、食生活において柔らかいものが多くなり、顎の発育程度が低くなっており、このようなことも原因の一つと言われています。

性格

神経質な性格の人は、精神的ストレスをためすく、顎関節症のリスクが高いといえます。また、我慢強い人も無意識のうちにストレスを蓄積させていることが多いといえます。

動作癖

 頬杖、俯せ寝、偏った側だけで噛む習慣、管楽器の演奏なども顎関節症のきっかけとなることがあります。

顎関節症の治療

スプリント療法

鎮痛剤を処方し、顎関節の炎症を抑えるとともに、透明の樹脂でできたスプリントと呼ばれるマウスピース状の装置を着ける治療法。噛み合わせを調整しながら、関節円板を元の位置に戻したり、噛み締め時の顎関節の負担を軽減したりできます。

理学療法

筋肉の電気的マッサージ(マイオモニター療法)温湿布により血行を良くする方法です。

徒手的授動術

関節円板のズレがひどい場合は、関節腔内に局所麻酔をして徒手的にズレを治します。(パンピングマニピュレーション)

関節腔内洗浄療法

炎症がひどいときは、点滴注射で関節の中を洗浄します。

外科的手術

関節円板が癒着し、関節の中で動かなくなった場合は、入院して円板を切り離す手術をします。現在は、内視鏡による手術が主流となってきています。

このように顎関節症は自然に治すことができる軽い症状から、口が開けにくかったり、痛んだり、開口障害の為に食事の摂取が難しくなったり、精神的にも影響を受け、生活に支障がでるほどの症状に苦しむ患者さんもいます。症状が重度の場合には手術を必要とすることもあります。