一般歯科
スポーツ中に起きてしまったケガの事をスポーツ外傷といいます。最近スポーツ外傷は増加傾向にあります。競技順にみていくと、ラグビーが1番でスキー、野球、サッカーへと続きます。今回は口腔の領域に限ってお話ししたいと思います。
まず、口腔領域の中は骨折、歯の外傷、軟組織の損傷の順番にケガが多くなります。男女比は男性の方が圧倒的に多く年代別では20歳代が最も多くなります。
顎顔面領域の骨折
1番多いのは下顎骨単独の骨折が最も多く、約80%を占め、次に上顎と下顎両方、上顎骨単独、頬骨骨折の順番になります。特にスポーツ中の骨折は下顎角部(えらの部分)、関節突起部(顎関節の部分)に多くなります。
症状はまず、噛み合わせがおかしいと感じます。他には顔貌の変化や開口障害、嚥下障害などがあります。これらはレントゲン写真で骨折線が見えたりすることもありますし視診や触診によって骨折の部位を触れることも可能です。今回はスポーツ時という事なので、歯がある人の方が多いと思いますのでまずは噛み合わせの回復をさせることが治療の際重要になります。まずは顎と歯の固定を行い安静をはかります。だいたい1か月程様子をみます。回復に向かえばそのまま様子をみていきますしもしも回復しない場合は手術などを進めていきます。
歯の外傷
歯の外傷は長期的な経過観察が必要です。すぐに判断しずらい場合が多くあります。
①変色…歯をぶつけた衝撃で歯の神経が死んでしまう事があります。神経が死んでしますと歯の変色を起こします。歯が変色してくるのは衝撃を受けてから数日の場合や数カ月後という事もありますのでその場での判断が難しくなります。変色してきた歯に対してはまず神経の治療が必要になってきます。神経の治療を行い、被せものを作っていきます。乳歯の時も基本的にはまず神経の治療からはじめます。
②歯の癒着…歯の衝撃を受けると歯根と周りの骨がくっついてしまう(癒着)現象が起こるときがあります。そうなると、他の歯は正常に萌出するのに対しその歯だけ癒着を起こし萌出が止まるため背が低くなってるような感じがします。乳歯であれば経過を見つつ歯の生え変わりの時期に抜歯を行ったりもしますが永久歯の場合、もしも癒着が重度であれば抜歯して被せものにしないといけない場合もありますので、判断は慎重に行わなければなりません。
軟組織の損傷
唇など軟らかい組織を切ってしまう事もスポーツ外傷では多々あります。その場合はなるべく早くに縫合をしてあげるべきです。縫合を行い傷口の感染防止をはかります。血行のよいところであれば5-7日で癒合が完成してきますが、より強固に癒合させるのは10日目以降になります。なるべく軟組織を元の状態に戻すことを目標にしていくのですが、感染を起こしたり、傷口が大きかったりするとどうしても傷跡が残ってしまう事もあります。
このようにスポーツによって起こるケガの種類は様々あります。それぞれによって対応が違ってきます。顎や顔面をケガをした時は早めに歯科医院を受診するようにしましょう。