一般歯科
歯茎が痩せてくると見えてくる歯の根っこ。
この根っこの部分は口の中に露出してしまうと虫歯になりやすいとされています。
普段から見えている歯の頭の部分とは色も構造も異なり、虫歯のなりやすさも違います。
今回はそんな歯の根っこの虫歯(根面う蝕)について文献を交えて見ていきましょう。
根面う蝕のなりやすい部分
海外のデータになりますが、20〜64歳で約400〜500人の根面う蝕の有無を調べ、その部位を確認したところ、根面う蝕が11,4%に確認され、年齢別だと20歳代だと1,1%であるのが60歳代になると22%まで増加することが確認されています。
加齢による影響も含めて、歯肉の下りやすい高齢者に増加していることから、歯根が見えてくると根面う蝕のリスクも高まるようです。
フッ素は効果的??
では歯茎が下がって歯根が露出してしまったら根面う蝕に打つ手がないのかと言われるとそうではありません。
上にも書いているように歯の頭の部分の表面構造(エナメル質)と歯の根っこの部分の構造(セメント質、象牙質)は異なります。
歯の虫歯予防にはフッ素が効果的であるとよく言われますが、これは歯の頭の部分に対しての研究が根面う蝕についての研究が多くありません。
ではどうなんでしょうか?
過去の報告では、フッ化物ゲルの使用や、フッ化ナトリウムによる洗口によって、有為に根面う蝕が少なかったとあります。
そのほかにも、なってしまった根面う蝕に対しても、フッ化物や抗菌療法を応用することで、約50%ほどの根面う蝕が非活動性に変わったとの報告もあります。
フッ素が根面う蝕を完全に予防するということではありませんが、少なくとも普段からしっかりとケアを行うことが口の健康を維持することに大切です。
まとめ
歯周病の治療を行うと歯茎が下がるとよく言われます。
(実際のところは歯茎の炎症が収まることによって、歯茎が引き締まり、結果的に歯茎が下がるように見えているだけです。)
しかしながら、初期の段階でしっかりとケアを行うことで歯根の露出を抑えることもできます。
逆にケアを行わずに歯周病が進行してしまうと、根面の露出に留まらず、骨が吸収されていき、最後には歯牙の脱落に繋がりかねません。
歯周病を予防し、また根面う蝕の予防のためにもしっかりとケアは必要ですね。