訪問歯科治療


75歳以上の高齢者は、1.慢性疾患を抱えている人が多い。2.複数の病気にかかりやすい。3.要介護の発生率が高い。4.認知症の発生率が高いなどの特徴を有しており、そのため医療と介護の両方を必要とすることが多いと考えられます。

2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳以上となり、超高齢社会をむかえようとしています。このような高齢者が重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で高齢者の権利擁護についての支援を受けながら、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるように、在宅医療と介護を一体的に提供する支援方法が求められています。そのためには医療・介護・予防・住まい生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築が必要です。

2015年1月に厚生労働省は、2025年に認知症の人が約700万人に達するとの推計を発表しました。認知症とは、「一度正常に発達した知能が器質的障害により低下し、記憶障害や見当識障害をきたし日常生活に支障をきたす」ことです。

認知症の原因となる病気のうち、最も多いのは、脳の神経が徐々に死んでいく”変性疾患”と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこれにあたります。次に多いのが、神経細胞に栄養や酸素が行きわたらなくなり、その部分の神経細胞が死んでしまう血管性認知症です。脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などがこれにあたります。

認知症の方や高齢者の方は、日常生活において口の周りでも様々な機能低下がみられます。その中の一つとして、食物を口に取り込み、かみ砕いて飲み込む機能、いわゆる摂食嚥下機能が衰えてくると誤嚥が起こりやすくなり、口の中の菌が肺に入り、肺炎の発症につながります。そのため食前、食後の口腔ケアと食事中の誤嚥防止が大切であり、近年認知症の人が口腔ケアを受けた場合、栄養状態の向上、転倒防止、コミュニケーション能力の改善、認知能力の改善につながることが言われています。

このことから、口腔ケアをはじめとしたいわゆる「ケア」や口腔周囲の筋肉などの機能低下を防ぐ「機能的な口腔ケア」などを通院できない人にも提供することが重要になってきています。

寝屋川市歯科医師会では要介護者の方で歯医者に通えず、困っておられる人に訪問歯科診療を行っています。また、治療相談も行っておりますので、寝屋川市在住の方は寝屋川市在宅歯科ケアステーションまで連絡してください

 

訪問歯科診療の手順

1.歯や歯茎が痛い!
  入れ歯が合わない
  口腔ケアに来てほしい
  歯医者さんに診てもらいたいけど通えない! などでお悩みの方

2.寝屋川市在宅歯科ケアステーションに連絡する。
  住所:寝屋川市池田西町28-22
  受付:月、水、金(祝日は除く) 午前9:30~午後2:00
  TEL:072-828-3930
  FAX:072-828-6270
  インターネットからアクセス:寝屋川市在宅歯科ケアステーション

http://shika-ishikai.neyagawa.org/zaitaku/zaitakushika.html

3.寝屋川市歯科医師会のネットワークでお近くの先生を探し、折り返し在宅歯科ケアステーションの衛生士から訪問診療を行う担当医が決まりましたことをご連絡いたします。

4.後日、担当医から連絡があり。訪問日時の相談をしていただき訪問歯科診療の開始となります。

歯科治療でお困りの方は、お困りの方はこのような手順で訪問歯科診療を提供しておりますので、ご連絡していただければ結構です。

まとめ

日本の65歳以上の高齢者人口は平成24年現在で3000万人を超えています。また、平均寿命も2014年には男性80歳、女性87歳となり、男女ともに80歳を超えています。また2060年には平均寿命は男性84歳、女性91歳にもなると予想され、これに伴い認知症を有する高齢者の方も年々増えてくると考えられます。しかし、介護施設数には限りがあり、すべての方が施設に入居することはできていないのが現状で今後もそれが改善されるは困難です。

東京都福祉保健局高齢社会対策部「認知症高齢者自立度分布調査」(平成20年8月)の資料で認知症高齢者が生活をしている場所を調べたところ認知症高齢者の6割以上の人は、居宅(自宅)で生活をしているという結果でした。このことから認知症を有し歯科診療に通えない人に居宅での歯科治療や口腔ケアなどを行っていく必要があります。これによって健康なお口を保つことにつながり、平均寿命ではなく「健康寿命」の延長につながります。また、口からおいしくものを食べることは、生きるために必要な栄養素を十分にとることができますし、これに合わせて運動を行うことが認知症予防にもつながります。

口の中の異常に気づかれた方は、遠慮なくご相談いただければ結構です。