予防歯科治療・ドライマウス
先日、大阪大学予防歯科学教室教授の天野敦雄先生の講演会に行ってきました。
そこで、アメリカと日本どっちが歯を大事にしているかという話がありました。
2013年のパナソニックの調べによりますと、30代から50代のアメリカ男性ビジネスマン200人と日本男性ビジネスマン200人の合計400人を対象に「歯とオーラルケアに関する意識調査」を行ったところ、歯への年間投資額はアメリカは平均36000円、日本は6000円ということでした。
この結果はアメリカの人が虫歯が多く、治療のために歯医者に通っているから治療費がかかるということではありません。
虫歯がなくても歯医者さんに行きますか(パナソニック調べ)
このグラフを見ると、虫歯でなくても歯医者に行く習慣があるアメリカ男性は76%で、日本男性は36%でした。つまり、アメリカ男性は治療のために歯医者に行くのではなく、予防のために歯医者に通うことがわかります。
アメリカ男性は日本男性より約6倍もオーラルケアにお金を投資しています。その理由として「虫歯への恥ずかしさ」や「きれいな歯がもたらす男性の魅力」があるそうです。
また、「歯を健康に保つためにお金や時間をかけてもいい」というアメリカ男性は86.5%いるのに対し、日本男性は42.5%でした。
そして、「歯の健康に自信がある」という人の割合はアメリカ男性が85%に対し、日本男性は28.5%でこれも大きな差があります。
このように日本人の歯医者さんに通う理由として治療に行くという考えが強いのに対して、アメリカは予防のために歯医者さんに通う傾向が強いということがうかがえます。
日本も少しずつ変わってきている
厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、過去1年間に歯科検診を受けた者の割合は 52.9%であり、平成 21 年、24 年、28 年の推移でみても有意に増加しています。
また性・年齢階級別にみると、男女とも年齢が高い層でその割合が高くなっています。
このことは、日本人の歯に対する関心が高くなってきていていることや昔と比較して口の中の病気が多くなっていないことから、治療ではなくオーラルケアに歯医者に通っている割合が増えてきていることが考えられます。
また男女ともに年齢が高い層で割合が増えてきているのは、超高齢社会をむかえている日本では生涯を通じて自分の歯を多く残し、自分の歯で食べ物を食べることが健康寿命をの伸ばすことに歯が大切であるという意識が高くなってきているのではないでしょうか。
アメリカと日本では国民性や慣習も違うので、アメリカ男性のようにきれいな歯がもたらす魅力を保つために歯医者さんに通うことはないですし、そのようになる必要はないと思いますが、定期的なオーラルケアを行うことによって歯を大切にし、いつまでもおいしく、楽しい安全な食生活を営む必要はあります。
定期的なオーラルケアを行い、口腔機能向上を図ることは、明るく活力のある超高齢社会を実現するために必要なことであることは学術的にも立証されていることなので、予防のために歯医者さんに通う割合がもっと増えるように普及させていきたいと思います。
2013年パナソニック調べ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000001409.html
平成28年「国民健康・栄養調査」の結果http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html