予防歯科治療・ドライマウス
知覚過敏症とは
知覚過敏症とは、「温度、乾燥、擦過、化学物質などの刺激によって生じる短く鋭い痛みを特徴とし虫歯や歯髄炎など細菌が関与する疾患とは異なるもの。」と定義されています。
細菌が関与してないということは、普段の何気ない生活習慣の中に知覚過敏を起こしうる原因が隠れているという事です。
その原因について少しお話していきましょう。
知覚過敏を起こしうる原因
過度のブラッシング
みなさん毎日2,3回歯磨きしますよね?歯磨きをする際、強い力でゴシゴシ磨いていませんか?
あまり強い力で磨きすぎると歯の表面が削れていき、知覚過敏を起こすことがあります。
歯ブラシの持ち方は鉛筆もち(ペングリップ)が基本とされています。
1~2週間で歯ブラシの毛先が開いてしまう、歯医者さんで歯みがきの時に力が入りすぎていると言われていますので、ペングリップで歯磨きをするようにしてください。
この磨き方は余計な力が入らず小刻みに動かしやすく、すみずみまで丁寧にみがくことができます。 ペングリップでみがくときのコツは、わきを締めること。
歯ブラシを持つ手が安定してみがきやすいです。
手に力の入りにくいお子様やご高齢の肩はパームグリップで歯磨きをしても構いません。
一度歯磨きする際、歯ブラシをどのように持っているか気にしてみるといいかもしれないですね。
歯肉退縮
これも知覚過敏の原因になります。
ある程度、加齢によって歯茎は退縮してきます。歯茎が下がると、これまで歯茎に守られてきたセメント質という組織がでてきてしまいます。そのセメント質がなくなってしまうと象牙質が露出してします。何故セメント質が削れやすいかと言うとエナメル質と比べて硬さが弱いからです。
1番強いエナメル質と、セメント質では硬さがどれくらい違うのでしょうか。
モース硬度という固さで表現されることが多いのですが、
モース硬度1:チョーク
モース硬度2:岩塩、純金
モース硬度3:珊瑚
モース硬度4:鉄、真珠
モース硬度5:ガラス(セメント質)
モース硬度6:オパール
モース硬度7:人間の歯(エナメル質)、水晶
モース硬度8:エメラルド
モース硬度9:ルビー、サファイヤ
モース硬度10:ダイヤモンド
このように硬さの程度が違うので露出したセメント質はブラッシングで喪失してしまいやすく、その内部にある象牙質が露出してしまうと外部からの刺激が歯の神経に伝わりやすくなり、知覚過敏の症状が出やすくなってしまいます。
このようなことことから歯周病や上記であげた強い力でのブラッシングも歯茎が下がる原因や知覚過敏症の原因になります。
酸蝕症
健康のために、お酢や炭酸水を飲んだりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
歯の中で1番硬い組織と言われているエナメル質というのは酸に弱いです。
pH5.2~5.5で歯の脱灰という現象が起こります。いわゆる歯が少し弱くなってしまうことです。
そうなると刺激に対しても過敏になってしまので結果知覚過敏を起こしてしまう可能性があります。
後は反復性嘔吐や胃食道逆流症などもお口の中を酸性にしてしまう原因になります。
睡眠時ブラキシズム、歯牙接触癖(TCH)
歯に過度な咬合力(=噛む力)がかかってしまうと、かみ合わせに不調和が起こったりします。
それによって歯茎部に過剰なストレスが生じ、エナメル質が破損したり剥離を起こしてしまい
その部分に何かしら刺激や力が加わると大きな欠損となってしまいます。
エナメル質が欠損してしまっているのでそこの部位は刺激を過敏に感じるので鋭い痛みを感じてしまいます。
他にもさまざまな原因はあるのですが、特に多い原因をあげてみました。
次は治療法について。
治療法の段階的な流れ
①予防的な処置
知覚過敏を起こしてしまう前に上記にあげたような原因をまず減らしていく。
生活習慣指導、摂食指導、口腔内清掃など。
②簡便な処置
まず最初に歯医者さんで行われる処置として多いと思います。
「しみ止めのお薬塗っておきますね。」いわれたことがある方も多いと思います。
知覚過敏が起こっている部分に、いわゆるコーティングをして刺激を遮断する方法になります。
③やや侵襲的な方法
欠損してしまった部位に白い樹脂をつめてあげて刺激を遮断したり、歯茎が下がってしまった症例に対しては歯周外科処置という小手術をしたりする方法があります。
睡眠時のブラキシズムや歯牙接触癖に対してはマウスピースを作製して、無駄な歯の接触を防いで知覚過敏を防止します。
④侵襲的な処置
上の三つを試してみてどうしてもしみや痛みがおさまらない。
そんな時の最終的な治療法として神経をとってしまう処置があります。
虫歯になってない歯の神経をとってしまうので歯はもろくなってしまいます。
歯がもろくなると、割れやすくなってしまったり結果抜歯という可能性もでてきてしまうので、そうならないためにも、まずは生活習慣から見直していって改善できる点を改善して知覚過敏を予防していきましょう。
気になることがあれば、来院して相談してくださいね。