歯周病治療


歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性の疾患です。歯が浮いたような感じがする、歯が揺れてきた という症状が出た場合、歯周病菌により歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収してしまったからだという考えが多いのではないでしょうか。

ところが歯周病になる歯の主原因は歯周病菌だけではなく、実は噛み合わせが原因になるということがあります。

歯周組織の炎症を悪化させる因子である外傷性咬合(歯周組織に外傷を与える噛みあわせや、かむ力)が働くと歯の揺れや歯槽骨の吸収などの外傷を受けます。このことを咬合性外傷といいます。咬合性外傷は一次性と二次性に分けられます。

咬合性外傷

一次性咬合性外傷

歯周炎に関わっていない、歯周組織の正常な歯に加わった許容範囲を超えた過剰なかむ力が加わることによって起こります。

二次性咬合性外傷

歯周炎の進行により歯を支持する組織が減少した弱った歯周組織に、外傷性咬合(歯周組織に外傷を与える噛みあわせや、かむ力)が作用している状態で、正常なかむ力によっても生じます。

咬合性外傷の症状

歯が浮いたような感触や、ものを噛んだ時の違和感や痛み、炎症による歯ぐきの腫れ、歯の揺れ、歯がしみる、むし歯治療をした部分の詰め物が取れる、顎の関節の痛みなどが症状として現れます。

咬合性外傷の原因

・歯並び

上下の歯がかみ合っていない、上の前歯が深く噛み込んでいる、前歯の噛みあわせが反対になっている(上の前歯より下の前歯が出ている状態)などの歯並びでは、奥歯に過度の力が加わってしまうことが多くなります。(前歯でも咬合性外傷は起こります)

 

・ブラキシズム

グライディング→歯を無意識にこすり合わせる歯ぎしりで、就寝中に多くみられます。ギリギリと音がするので周りに気づかれやすいです。

クレンチング→歯をずらさずに上下の歯を強くくいしばる習癖のことで、就寝中に問わず日中に見られ、音はないので他人に気づかれることは少ないです。

タッピング→連続的に上下の歯をカチカチとかみ合わせる習癖のことです。

 

・かぶせ物や詰め物

かみ合わせは非常にデリケートです。かぶせ物や詰め物が高すぎる場合には早期接触(かみ合わせたとき、ある歯が他の歯より先にあたること)を起こします。かぶせ物や詰め物以外の歯で起こる場合もあります。

咬合性外傷の治療・予防法

・かみ合わせを整える

かみ合わせの調整を行ないます。高さのあっていないかぶせ物や詰め物などを外し、新しいものに変える場合もあります。

 

・マウスピース

就寝中の歯ぎしりや食いしばりで歯に過剰な力がかからないようにするためにマウスピースを装着し咬合力を分散させ、咬合性外傷が起こるのを防ぎます。

マウスピースは歯の型をとり作製し、マウスピースを装着した状態でのかみ合わせの調整を行ないます。

 

・矯正

歯列矯正治療では審美的な回復をはかるだけでなく、バランスの良いかみ合わせにすることで、咬合性外傷の予防をします。また歯並びが悪いとみがきにくくなりプラークコントロールを行う事が難しくなる事があります。清掃しやすいお口の中にすることでむし歯や歯周病の予防にもつながります。

 

・暫間固定

歯の揺れが強くみられ、かみ合わせの調整だけでは改善できないような場合、その歯とその周囲の歯で固定をすることがあります。揺れている歯に過度にかむ力がかかるのを防ぎ咬合力を分散させることで咬合性外傷を防ぎます。(歯周病で揺れている歯を固定してもその原因の治療をしなければ改善することはありません)

 

・プラークコントロール

プラークコントロールとは歯みがきのことをさすのではなく、むし歯や歯周病の原因になる細菌の塊のプラーク(歯垢)を減らすことをいいます。

二次性咬合性外傷では、歯周病を伴っています。かみ合わせの調整だけではなく歯周病の治療も大切です。歯医者さんで歯石除去などの清掃を行い、ブラッシング方法を学びプラークコントロールができるようにしましょう。

まとめ

咬合性外傷には細菌の進入がないので歯周組織の破壊は起こりません。この場合かみ合わせの調整やマウスピースの装着で改善することがあります。細菌による歯周病の場合は歯周組織が破壊させ、病態を進行させてしまいます。何が原因かを知り、その原因に対しての治療が大切です。上記に記載した症状がある場合歯医者さんで検査と診断を受けましょう。