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11月26日に地域の方に講座を行いました。
テーマは「あなたのお口の機能は大丈夫ですか?みんなで調べてみよう」です。
お口の機能や口腔機能低下症、お口のトレーニングなどについて実際に検査もしながらお話ししました。今回はその内容をブログでお話しします。

口腔機能の5つ

普段お口の機能を実感することはないかもしれませんが、実はたくさんの役割があります。

・咀嚼(そしゃく)→食べ物を噛む機能。食べ物を噛み、飲み込みやすくします。
・嚥下(えんげ)→食べ物や飲み物、唾液などを飲み込む機能。
・構音(こうおん)→舌や唇、あごなどを使って言葉を作る機能。舌の先を使えばタ行やナ行、舌の奥を使えばカ行、唇を使う音にはパ行やパ行、マ行があります。使う場所を、変えて出したい音を調節していきます。
・唾液(だえき)→唾液を分泌する機能。唾液の役割には消化作用、保護作用、自浄作用、殺菌・抗菌作用、緩衝作用、再石灰化作用、免疫作用があります。
・感覚(かんかく)→口の中の状態を感じて理解する機能。味覚や痛覚、温度覚、触・圧覚など。

他にも表情を作ったり呼吸をする機能などもあります。

オーラルフレイル

オーラルフレイルという言葉を聞いたことはありますでしょうか。
オーラルとは”口”、フレイルとは”虚弱”のことを意味します。
滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、噛めない食品が増えるなどの些細なお口の機能の低下から始まります。これらの様々な口の衰えは、身体の衰え(フレイル)と大きく関わっています。

オーラルフレイルの原因はおもに加齢による筋力低下、歯の喪失が原因となります。

歯がなくなってしまうと、食べ物が噛みにくくなります。そうすると柔らかいものを選んで食べるようになり、食べる量も減り、栄養が十分に足りなくなります。
また、滑舌が悪くなると話すのが嫌になり、会話をする機会が減ってしまい、口の筋肉を使う時が少なくなり、さらに筋力が低下してしまいます。
そうなると外出もせず、引きこもり状態になり、フレイルが進み要介護状態へとなってしまいます。

オーラルフレイルは予防することができます。

社会参加し、人と関わること。何気ないことかもしれませんが誰かとお話したりお食事をしたりすることはお口の筋肉を使っています。
バランスの良い食事をし、栄養を摂ること。バランスのいい食事とは食品の多様性が必要です。そのためにはしっかりと噛めないといけません。歯がないと硬いものが噛みにくくなります。歯を失わないようにするために毎日のお口のお手入れ、定期的な歯医者さんでの清掃をしましょう。
そして運動をすることです。運動をするためには体力が必要ですよね。口からしっかり食べれないと体力はつきません。
社会参加、バランスのいい食事、運動、毎日の口腔ケア、定期的な歯医者での検診や清掃からオーラルフレイルを予防しましょう。

口腔機能低下症

【出典】「口腔機能低下症」を診断しましょう日本老年歯科医学会

口腔機能低下症とは加齢だけではなく、疾患や障害、薬の副作用などの要因により、口腔内の感覚、咀嚼、嚥下、唾液分泌などの機能が少しずつ低下してくる症状のことです。

オーラルフレイルと似ていますが、オーラルフレイルは病名ではなく状態であり、地域保健事業、介護予防で対応します。それをそのままにしておくと口腔機能低下症という病気に繋がっていきます。口腔機能低下症は歯科診療所での対応となります。

口腔機能低下症は以下の7項目の中から3つが該当していると口腔機能低下症と診断されます。

①口腔不潔

お口の中の細菌の数を調べたり、舌苔の量を確認して診断します。

唾液中の菌は1mlで約10億個以上と言われています。菌は唾液や歯についている汚れだけでなく、舌にもたくさんの菌がついています。

その結果唾液中の細菌の数が多くなり、誤嚥性肺炎や術後感染などを引き起こしてしまいます。

②口腔乾燥

唾液の出る量が少なくなったり、口呼吸などでお口が乾燥しているかどうかを調べます。

お口の中が乾燥すると、むし歯や歯周病になりやすくなり、また食べ物を食べる時に唾が少ないと、喉を通りにくくなってしまいます。

③咬合力低下

噛む力を測定する感圧シートというものを噛み、力を測定したり、揺れがない歯の本数で評価します。

かむ力が弱いと、循環器系疾患やガンの予防に重要な野菜や果物、ビタミンや食物繊維を摂取する量が少なくなるという報告があります。また、咬合力が低いと肥満の人が多いという報告もあります。

④舌口唇運動機能低下

唇や舌の運動をみます。
「パパパパ….」「タタタタ….」「カカカカ….」と5秒間ずつ発音し、何回言えたかを測定します。それぞれ1秒間に6回以上正確に発音できていれば問題ありません。

唇や舌は食べる時や話す時に使っています。筋肉が衰えると食べるのに時間がかかったり、食べこぼしがあったり、飲み込むことがうまくできなくなります。

⑤低舌圧

舌圧測定器を使って、舌の力を測定します。
舌圧とは舌と口蓋(口の中の天井)や食べ物との間に発生する圧力のことを言います。

食事をする時には舌で歯に食べ物を運んでいます。歯だけで食べ物を噛んでいるだけでなく、上あごに舌を押し付け、すりつぶしたりもしています。飲み込む時には舌を上あごに押し付ける力が必要です。

低舌圧の人は低栄養になりやすく、食事の形態も刻み食などで調整しているものが多いということがわかりました。

⑥咀嚼能率

咀嚼能力測定用グミゼリーの公式サイトより引用

専用のグミゼリーを噛み、どれだけ細かくできたかで評価します。
加齢や健康状態、口の中の環境により、食べこぼしや嚥下時のむせ、噛めない食品がだんだん増え、食欲の低下や食品多様性が低下します。
咀嚼機能低下とは、これがさらに悪化した状態のことであり、かむ力や舌の運動能力が低下し、結果的に低栄養代謝量の低下を起こしてしまいます。

⑦嚥下機能低下

日常生活や普段の食事に関する聞き取りによって、嚥下機能に問題がないかを調査します。

加齢による摂取嚥下機能の低下が始まり、あきらかな障害を呈する前段階での機能不全を有する状態です。

全身の健康はお口の機能が深く関与しています

お口を清潔に保つことやお口の機能を保つことは、身体全身の健康に影響を与えます。お口の機能を理解し、健康寿命を延ばしましょう。

 

お口のトレーニングはこちらに掲載しています。https://osugi-dc.com/blog/prevention/205/