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今日のテーマは舌痛症についてです。

最近、「舌がピリピリする感じがする」と言って来院される患者さんが増えています。
簡単に症状や特徴についてお話します。

舌痛症とは

舌痛症とは、1日中特に夕方に、舌尖、舌縁を中心とした限局部位や舌全体にヒリヒリ、ピリピリ時に灼熱感を感じることがあります。その症状は仕事中や会話、食事中には自覚しません。何もしていないときに痛みが増して感じることが多いです。舌に器質的な変化がないのが特徴です。

◎成人の1-5%、女性の方が3-6倍多い。
◎味覚異常や口腔乾燥感を訴えることもあります。
◎全身疾患の1症状として現れることもあり、日常であれば貧血などに伴って発症することがります。局所的なものでは入れ歯や詰め物の刺激や金属アレルギーによる痛みが原因として考えられます。
◎舌の色調や機能は正常。
◎心因性の原因が多い。ストレスなどによって悪化することが多い。
◎癌恐怖症の方に多く見られます。

舌痛症はそれ単独で起こることもありますし、何か他に全身的な病気が原因で起こることもあります。下記にあげる全身疾患をお持ちの人はその合併症である可能性もあります。

舌の気質的な変化を伴う・伴わないである程度の鑑別もすることが出来るのでいくつか挙げていきたいと思います。

舌の器質的な変化が伴う場合

①鉄欠乏性貧血

体内の鉄分不足が原因で起こりやすいです。女性が男性の5-6倍多いです。舌がピリピリした感じや灼熱感、平滑になったような感じがします。もう少しひどい状況になると喉の粘膜に違和感を感じたり、嚥下が困難になることもあります。(plummer-vinson症候群)

②ビタミンB12欠乏症

ビタミンB12は胃壁から吸収されます。例えば、手術などで胃を摘出した場合などビタミンB12の吸収不足が起こり貧血を起こしたり、その影響で舌がしびれるような感じが起こったりします。また、悪性貧血という疾病もありこれは自己免疫疾患の1つで四肢のしびれが出るときもあります。

③口内炎

口内炎はかなり日常的で多くの人が1度は経験されたことあるものだと思います。口内炎は口腔内でぷちっとできものができ、器質的な変化がみられるため非常にわかりやすいです。これも、舌にできた場合は痛みが伴います。

器質的変化を伴わないもの

①舌咽神経痛

嚥下、会話、呼吸、あくび、咳などに誘発されておこる発作性の激痛で、40歳以上に見られることがおおいです。ほとんどが片側性であり、ごく稀に両側性に起こることもあります。これは患側の惻咽頭部、中耳、下顎角、側頚部などに痛みがみられ夜間にもみられます。これは、神経が過敏に反応を起こして発生する痛みであり、何かできものができたりするようなことはありません。

②癌恐怖症

癌恐怖症とは、身体のどこかに不調が起こったとき(例えば、喉が痛い、舌が痛いなど。)に、もしかしたら癌なのでは・・・と思い不安になって日常生活に支障をきたすことがあるものです。舌痛症を例に挙げるとすると、「舌が最近ピリピリ痛む。もしかしたら舌癌になってしまったのでは?」と不安になります。しかし、舌痛症と舌癌では全く異なり、舌癌の方は明らかな舌の変化があり、舌痛症では舌に何も変化はありません。

このように舌に変化がみられるかどうかでも判別が違ってきます。気になるようなら一度歯科医院に来院されて相談されてみてはどうでしょうか。