一般歯科


今日は歯の中にある神経の治療内容を説明します。

以前にもお話したように、虫歯ができて大きくなっていくと、まずはしみる症状が出てきます。最初は冷たい水でキーンとした鋭い痛みが出ますが徐々に温かいものでもしみ始め、さらに進むと常にズキズキ痛むといった症状が出てきます。

まだ少ししみる程度で初期の虫歯であれば、その虫歯の部分の治療だけで終われる可能性が高いですが、ズキズキといった症状に変わってしまった場合などには、虫歯の部分だけでなく、歯の中にある歯の神経の治療の必要性も出てきます。

では、どのように治療していくのかというと・・・・

1.局所的な麻酔を行い歯の神経を眠らせます。麻酔をかけることで治療中の痛みをなくすことが出来ます。

2.歯の悪いところ(虫歯になった部分)を取り除き、その歯の神経の治療を行っていきます。

3.細菌に感染した歯の神経(歯髄)を直径1mm以下の専用の器具を使い除去します。

その後、歯の根っこの長さを確認し、細菌をやっつける薬や専用の器具を使い、歯の中にある神経が通っている管(根管)をきれいに清掃していきます。   
(この根管をキレイに清掃する作業は、状況によっては数回治療回数が必要になっていきます。)

4.そしてキレイにし終わると、根管の中に歯の神経の変わりとなる最終的な薬をつめていきます。

しかし、上記の治療方法だけで治まらない場合があります。

長い間虫歯を放置されて、歯の神経への細菌の感染が進んでいく後、歯の根っこの先で膿始めます。

初期の状態ですと、上記の治療で回復するのですが、膿がどんどん溜まっていくと、炎症反応によって歯の根っこの先の部分の骨が溶け始めます。骨が溶けるにつれて、レントゲン写真で歯の根っこの先が黒く濃く抜けて写ってきます。

そして体の免疫反応が、歯から進入した細菌を内部に入ってこないように根っこの先の部分に袋状の膜を作ります。 この袋状になってしまった病気を「歯根嚢胞」と呼びます。この膿の溜まった袋が大きくなってしまうと、なかなか上の治療だけで治しきることは難しいです。

その場合は、根っこの治療をした上で、外科的に歯茎をめくって直接膿袋を取り出すという処置が必要になります。

では具体的にどのように行うかというと、

1.歯の周囲の局所麻酔を行い、術中の痛みをなくします。
2.歯の根っこの部分を確認し、その部分の歯茎を切開します。
3.歯茎のめくり、中の状態を確認します。
4.膿袋は文字通り、袋状になっているため周りの骨からはがす様に除去していきます。
5.膿袋を取り除いた後、歯の根っこの先が原因になっている可能性が高いため、根の先を少し切除します。(この際に、切除した部分に薬をつめる場合があります。)
6.根の先をキレイにしたら、歯茎を整復し、糸で傷口を縫います。
7.止血確認ができたら終わりです。

この膿袋を取った後の注意事項としては、取った所は傷口になっていますので、基本的には歯を抜いた後と同じです。

○2~3日は腫れやすくなりますので、飲酒、長風呂、スポーツなどの激しい運動は控えてください。 
○お食事、歯磨きについては、歯ブラシや、硬い食べ物が傷口に当たるとやはり痛むので、食べ物についてはやわらかい物が無難です。歯磨きについても傷口を避けるようにして磨いて下さい。 
○傷口は糸で縫っていますので、傷口が開かないように、しばらくはあまり大きく口を動かさないようにしてください。

傷口の糸抜きについては、術後1~2週間を目安に行います。

膿袋を直接取る処置は、膿袋が大きい場合のほか、歯の中の神経の治療が出来ない場合にも適応されます。

例えば、歯に大きな土台や被せ物が入っている歯等です。

可能なら、歯の内側から消毒をし直したいところですが、大きな土台が入っていると、その土台を除去するだけでも歯にダメージを与えてしまうため、除去が難しい場合は上の処置の適応となります。

これだけですとまだ「歯」としての治療は終わっていません。

歯の根っこの治療はいわば歯の基礎作りです。 薬が詰まったとしても歯としての強度は弱くなっているので、次は歯の根っこから頭の部分にかけての土台を作らなければなりません。

土台の治療方法は様々あります。健康な歯の部分が多く残っている場合などには、一回の治療で歯に土台の形を整えた後、口の中でプラスチック製の素材で直接土台を作る場合もあります。

しかし、虫歯の範囲が大きく、一部分が歯茎の下まで広がっているような時には、多くの場合、土台の形を整えた後、型取りをして、次に来ていただいた時に、金属製の土台を歯に入れるという方法を行います。 多くはこのような方法で行いますが、その限りではありませんので気になる方は一度ご相談ください。

歯に土台が入ると、いよいよ被せ物の治療に移っていきます。

被せ物については以前に詳しくまとめていますので、そちらをご参照ください。