味を感じる

舌には味を感じる能力を持っています。味覚(＝甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)は生きていく上で判別していかなければならない重要なセンサーです。舌には乳頭というのがあり、糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭の4種類があります。そして乳頭には味蕾があり、味蕾は味細胞の集まりです。味蕾にある味細胞が化学物質によって刺激されると、それらがセンサーとなり味を感じてくれます。

甘味…砂糖を舐めたときに感じる味です。

塩味…塩を舐めたときに感じる味で、ナトリウムイオンが引き金となって起こります。

酸味…レモンやお酢を舐めたときに感じる味で水素イオン濃度が関係しています。また、腐っているものなどを食べてしまった時にきちんと反応して体内にいれないようにするために重要な働きを担っています。

苦味…コーヒーなど苦いものを食べたり飲んだりしたときに感じます。また毒物など身体にとって危険な物質が体内に入らないように反応します。

舌は前3分の2が鼓索神経、後ろ3分の1が舌咽神経という2種類の神経によって味覚は支配されています。

咀嚼・嚥下

食事をする時にも舌はとても重要な役割をしています。まず、食べ物がお口の中に入ったとき、舌が食べ物を口蓋に押し付けてどんな食べ物なのか熱いのか冷たいのかなど素早く判断します。そして、食べ物が軟らかかった場合はそのまま舌と口蓋で押しつぶしますが固い食べ物の場合は舌が食べ物を奥歯に送り込み、咀嚼をします。そして、舌と頬筋の間に食べ物を挟みこみ粉砕もすることもできます。

このように舌が思ったように動くことが重要で、舌下神経によって支配されています。

これらの機能が働かなくなったら・・・？

まず、味覚障害があげられます。味覚には、食べ物の味を把握し食欲を刺激したり、危険なものを食べないようにしたり、消化液の分泌を促進したりする役割があります。味覚に関わる神経が何らかの理由で異常がでてしまうと味覚障害が生じます。味覚異常には「①味覚低下」「②異味覚」があり、①は単純に味がしなくなったり、特定の味だけ感じなくなったりします。②は苦味を感じるなどの異常な味がすることを言います。

原因は色々とあるのですが、まずは加齢によって唾液の分泌量が減ることや乳頭が萎縮してしまう事によって味が感じにくくなるときがあります。乳頭の萎縮は放射線の治療や抗がん剤の治療を行った場合にも起きます。他には亜鉛などのミネラル不足、歯周病、心因性の原因などがあげられます。治療法はその原因によって異なってきます。

次に摂食・嚥下障害があげられます。

舌というのは食べ物を口に取り込んで噛み砕き、飲み込むまでの動きで、重要な働きを持っています。主に準備期という段階で障害がみられ、舌は食べ物を歯と歯の間に移動させる働きや、歯で食ベ物を噛み砕く時に、舌で食べ物を保持しています。何咀嚼をし、粉砕された食べ物が舌の上に落ちてくるので、舌はそれらの食べ物を集め、反対側の歯に食べ物を移動させ、再度咀嚼できるようになります。舌の機能が低下する事によりこれらの動作に障害がでてきます。むせや誤嚥も増えてきます。

治療法としては、舌運動のリハビリがあげられます。舌は筋肉の塊なので筋トレをするイメージを持ってもらうといいかと思います。｢ぶくぶくうがい｣や｢あいうべ体操｣などあります。(検索してみてください。)

舌はお口の中で重要な役割を果たしています。もちろん舌にも細菌は溜まりやすいので舌ﾌﾞﾗｼなどでたまには舌のお手入れもするようにしてくださいね。