一般歯科
脱灰と再石灰化について今日はお話しようと思います。
脱灰って?
まず、自分自身の歯を見たときに歯の表面が濁っているような白になっている部分はありませんか?眼に見えて分かるそれが脱灰されている部分になります。
脱灰とは簡単に説明すると歯の表面から歯に含まれているミネラル分(リンやカルシウム)が酸によって溶けてしまった状態となります。歯は1番表面はエナメル質という硬い組織で覆われています。歯の組織というのは酸に弱いです。そのエナメル質が酸によって溶けるか溶けないかの境目のpHを臨界pHといいます。およそ5.5と言われています。この臨界pHを越えてもっと酸性にお口の中が傾いてしまうとエナメル質の成分が溶けてしまう、すなわち脱灰という現象がおこります。脱灰という現象はお口の中が臨界pHを越えているときはずっと起こり続けています。それをお口の中の唾液の成分などが元の状態のpHに戻そうとする(再石灰化といいます)現象が起きて、歯が溶けっぱなしという事が起こらずにすんでいるのです。
歯はエナメル質の下は象牙質という組織になるのですが象牙質はpH6.5ともっと早くに臨界pHがくるためエナメル質よりも脱灰が早く起こり始めます。そのためエナメル質に穴が開いてしまうと象牙質の脱灰はもっと早くに始まるために虫歯になりやすくなります。
再石灰化って?
このまま脱灰が続いてしまうと人間みんな歯がボロボロになってしまいます。それを防ぐために再石灰化という現象が起こります。再石灰化とは簡単に言うと溶け出した歯の成分が元に戻ってくることです。これには唾液が重要な役割を果たしています。唾液には緩衝作用という作用があり、ご飯を食べた後に酸性に傾いたお口の中を中性に戻そうとしてくれる役割があります。唾液の成分の中にはカルシウムイオンやリン酸イオン、重炭酸イオンが含まれます。この重炭酸イオンがお口の中を中性に戻してくれます。そして、カルシウムイオンなどは脱灰でスカスカになった歯の組織の中に入っていき歯の結晶構造を元に戻そうとしてくれます。このように歯は脱灰と再石灰化が繰り返し起こっています。
脱灰と再石灰化
食事をすると必ず脱灰は起こります。臨界pHを超えて酸性に1度傾くとまた臨界pHから中性へ戻っていくのに約30分かかると言われています。完全に中性まで戻るのにまた30分かかると言われているので合計すると初めの脱灰が起こってから元の中性に戻るまでに1時間もかかってしまうという事になります。なぜお口の中が酸性になってしまうかというと、お口の中に住んでいる沢山の細菌のせいです。細菌は食物のなかの糖を酸に分解する能力をもっているためです。今は糖質が含まれていない食品の方が少ないのです。なのでまずは食事の時間や間食の時間をなるべく決めてしまうほうがいいです。テレビ見ながらや仕事中ちょっとした隙間にちょこちょこだらだら何かを口に含むという状態が続いてしまうといつまで経っても元の中性に戻ることができません。中性に戻そうとしてるところに再び食べ物が口に入ってまた酸性に傾く。という現象を繰り返してしまうからです。歯の強さによって個人差は出てきてしいまいますが、食べ方によって少しでもむし歯になりにくくすることはできます。なのでまずは毎日の生活習慣から見直してみてはどうでしょうか。