一般歯科
以前に、「歯」の名前と本数というタイトルで、歯についてお伝えしましたが、今回はより内部を見ていきましょう。
まず、前回、歯の神経について少しお話していますので、引き続き歯の神経についてからお話しましょう。
そもそも歯髄と呼ばれる歯の神経は、歯の内部に存在していて、歯の頭の部分には髄室と呼ばれる神経の部屋みたいなものに存在します。そこから、歯の根っこの部分に向かって、細長く延びていき、根管を通り、根尖孔と呼ばれる歯の根っこの尖端にある小さな穴から、歯の外に出て行きます。
この歯の神経が歯の外に出るまでに通っている「根管」ですが、実は歯の根っこの数と同じではないのです。
ではどのようになっているのか、それぞれの歯の根っこの本数と比較してみていきましょう。
歯の根っこの本数と根管の数
では、早速ですが、前歯から順番に見ていきましょう
〈上顎〉
中切歯: {歯の根の数}1本 《根管数》1本
側切歯: {歯の根の数}1本 《根管数》1本
犬歯 : {歯の根の数}1本 《根管数》 1本
第一小臼歯: {歯の根の数}1~2本 《根管数》 1~2本
第二小臼歯: {歯の根の数}1本 《根管数》 1~2本
第一大臼歯: {歯の根の数}3本 《根管数》 3~4本
第二大臼歯: {歯の根の数}3本 《根管数》 3~4本
〈下顎〉
中切歯: {歯の根の数}1本 《根管数》 1~2本
側切歯: {歯の根の数}1本 《根管数》 1~2本
犬歯 : {歯の根の数}1本 《根管数》 1~2本
第一小臼歯: {歯の根の数}1~2本 《根管数》 1~2本
第二小臼歯: {歯の根の数}1~2本 《根管数》 1~2本
第一大臼歯: {歯の根の数}2~3本 《根管数》 3~4本
第二大臼歯: {歯の根の数}1~2本 《根管数》 3~4本
(ごく稀に個人差によって上記以外の数の場合もあります。)
これをみてもらっても分かるように1本の根っこの中に何本も根管があるんですね!
さらには、単純に根っこの先までまっすぐ伸びている根管があれば、途中で枝分かれしたり、枝わかれした後また1つの根管に戻る形態もあります。
こういった形状が歯の神経の治療が難しくなってくる要因の1つです。
特殊な形
更に特殊な歯の形で、歯髄に影響するものとして、次のようなものがあります。
1、歯内歯
歯内歯とは、歯の形成過程で生じた特殊な形です。
特に上顎側切歯に多く見られます。
前歯の裏側には盲孔と呼ばれるくぼみが存在しますが、そのくぼみが深くなってしまうと、まるで1つの根っこに対して2つ歯の頭があるような状態になってしまいます。
そうなると、歯の神経もその歯の形に追随した形になっていますから、根管の形も特殊な形になってしまいます。
2、中心結節
中心結節とは、歯の噛む面に見られる突起です。
特に良く見られる部位としては、下顎第二小臼歯で、1~4%で発生するとされています。
この中心結節が厄介なところは突起の部分に歯の神経も入り込んでしまっているところです。
噛む面にある突起のため、折れやすく、折れてしまうと歯の神経が露出してしまう可能性があります。
中心結節の対処方法としては、
・折れにくいように補強する
・少しずつ削る。
方法があります。
少しずつ削るというのは、少し削って時間をおき、歯の神経が歯の内部に厚みを作るのを待って、また削ってという方法です。
3癒合歯
隣あった歯どうしがくっついて生えてきた状態です。
歯の表面だけがくっついた状態は癒着歯と呼ばれていますが、歯の内部までくっついている状態だと癒合歯と呼ばれています。
癒合歯は歯の神経までくっついてしまっていることが多いです。
まとめ
今回は歯の構造として歯の神経を中心にお話してきました。
一言に歯の神経といっても実際は歯にも個人差があってその形状はさまざまです。
普段の生活の中ではあまり気にならない歯の神経ですが、いざむし歯になってしまうと、、、繊細な治療が必要になるのです。
やはり一番はむし歯を作らないことですので、普段からの口腔ケアはしっかりと行いましょう。