予防歯科・ドライマウス


★ドライマウス(口腔乾燥症)とは唾液の出る量が少なくなったり質が変化することにより、口の中が乾燥する状態のことをいいます。

唾液の分泌量は健康な人で約1〜1.5ℓありますが、ドライマウスの人はその唾液の分泌量が大幅に減少してしまいます。唾液にはたくさんの役割があります。消化作用(でんぷん質を糖に変える)、抗菌作用(細菌増殖を抑える)、粘膜保護作用(唾液の成分であるムチンによって各種の刺激から粘膜を保護する)、緩衝作用(口腔内の環境を中性に保つ)などがあります。

ドライマウスが起こると

舌がヒリヒリして痛くなる(舌痛症)、むし歯、歯周病(菌が繁殖しやすくなる)、口臭、味がわかりにくくなる味覚障害、発音がしにくくなる構音障害、摂食・嚥下障害、粘膜疾患(扁平苔癬、白板症など)、萎縮性胃炎、風邪や肺炎などの感染症

上記にあげたものなどが起きやすくなります。

ドライマウスの原因

筋力の低下

加齢により咀嚼筋、口輪筋、頬筋などの口の周りの筋力が低下します。唾液の分泌は噛むという行為により促されます。噛む筋肉が衰えると唾液が十分に分泌されず、唾液がでにくくなります。

ストレス

唾液腺は、副交感神経と交感神経の2つの種類があります。

緊張した時口が乾いたことはありませんか?緊張状態の時は交感神経が働き唾液の分泌が抑制されます。ストレスや精神的にダメージを受けている場合にも交感神経が働き唾液の分泌が低下してしまうのです。一時的に緊張し、口の中が乾くのは問題ないですが、ストレスや精神的ダメージが続くと交感神経が働き続けドライマウスの原因となります。また唾液核(唾液腺を支配する副交感神経の中枢)への分泌が抑制作用を起こすことにより慢性的な口の乾きが生じます。

糖尿病

糖尿病は脱水症が原因となります。糖尿病には1型糖尿病(子どもや若い人に多く発症)と2型糖尿病(中高年に多く、生活習慣病であり日本の糖尿病の大部分は1型が多くなっています)があります。血糖値が高い場合尿が多量に出ることから、ドライマウスが起こりやすくなります。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は自己免疫疾患のひとつで、目の乾きや口の乾き、関節が痛くなるなどが主症状であり中年の女性に最も多く見られます。口の唾液腺や眼の涙腺など、体液を分泌する腺に白血球が侵入し、侵入した白血球が腺を傷つけ、細胞の破壊や萎縮、消失などをきたす結果、口や眼の乾燥が発生します。また関節リウマチの方の20%がシェーグレン症候群を合併しているとの調査結果があります。(2000年リウマチ白書)

薬の副作用

抗うつ剤、抗不安剤、向精神薬、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、降圧剤、利尿剤、抗パーキンソン薬、抗アレルギー剤、気管支拡張剤などがドライマウスを生じる薬剤です。薬は脳にも影響を与えますが、唾液の量をコントロールする脳の部分にも作用し、唾液の分泌を低下させます。

放射線

口や顔の領域のがん治療などで放射線治療をする際に、放射線により唾液腺が破壊されるために起こります。症状は放射線量に依存するとされています。

ドライマウスの治療法や対策

口の保湿では、咀嚼回数を増やすことで唾液は出やすくなります。よく噛むことができるキシリトール入りのガムなどが効果的です。お茶や水などの水分を摂取し、できるだけアルコール分の入ったものは控えるようにしましょう。保湿ジェルや保湿液、保湿スプレーを使用することで一時的ではありますが口の中が保湿され、粘膜の保護を行います。

筋力が低下している場合には、口の周りの筋肉を鍛えることで唾液の分泌が促され、感染症や嚥下障害のリスクも減ります。また入れ歯を使用されている方で入れ歯が不安定だと思う方は歯医者さんで診てもらいましょう。入れ歯が不安定だと動きが制限され、筋力低下の原因となります。

ストレスが原因の場合、一定期間様子を見て経過観察をする場合があります。できるだけゆとりのある生活ができるように心がけ、適度に運動をし体をリラックスさせましょう。

強いストレスや精神的にダメージを受け、抑うつや不安が強い場合には心療内科をすさめることもあります。

薬の副作用が原因の場合、唾液腺の機能は保持されていますので、薬の減量や中止、変更などで回復することがあります。しかしリスクもあるので自分で判断せず医師に相談しましょう。

また、ドライマウスの原因により唾液の分泌を促進する薬や漢方薬が処方されることがあります。

何が原因か正しく知ることが大切です。口の乾きで気になる方は歯医者さんに相談してください。